診療科紹介
呼吸器内科では部長の岩川を始め、常勤医5人、非常勤医2人の体制で、専門医としての自覚を持ってサービスを提供し、患者さん、周囲の医療者から選ばれる呼吸器内科を目指し、日々診療を行っております。
主な対象疾患と治療法
肺癌・胸部悪性疾患
当科で診療を行う胸部悪性疾患は肺癌をはじめとして、胸腺癌、浸潤性胸腺腫、悪性中皮腫も対象としております。毎週水曜日に呼吸器外科、放射線科、病理診断科との合同カンファレンスを開催し、最も適切な診断・治療方法を選択できるように協議しています。胸部X線やCTなどの画像診断、気管支鏡検査などにより診断を確定し、患者さんには通常病名を告知し、患者さんご本人・ご家族の希望や意向を考慮した上で治療方針を決定しています。
内科領域では全身薬物療法(細胞障害性抗がん剤、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬、血管新生抑制薬)が中心となります。積極的な薬物療法に加えて、鎮痛などの緩和治療も併行して行っています。外来化学療法も積極的に行い、患者さんの負担を軽減するように努めています。
肺炎、呼吸器感染症
肺炎については、日本呼吸器学会や感染症学会の市中肺炎ガイドライン、医療・介護関連肺炎ガイドライン、院内肺炎ガイドラインに準拠して、診断・治療を行っております。肺炎球菌ワクチン等の予防接種も、適応を有する患者さんには積極的に行っております。
肺結核症については、当院には結核病床がないため、外来での診療が主となります。肺結核症が疑われる入院患者には、院内感染防止の観点から、排菌が否定されるまで個室や陰圧個室(当院では1床のみ)に入室していただいてております。
肺非結核性抗酸菌症は、中年以降の女性の患者が多くなっており、治療に抵抗性のある症例も多く、また、薬物療法自体の副作用もあり、治療に難渋することが少なくありません。治癒が難しいケースでは症状緩和・病状改善を目標に、外来を主として治療を行っております。適応のある菌種は限られるものの, アミカシン吸入の導入も行っております。
肺真菌症の患者さんは多くはありませんが、陳旧性肺結核や肺気腫、肺癌などの呼吸器基礎疾患に合併症として発症する場合があり、診断および治療を慎重に行っております。
気管支喘息
鹿児島県は、人口あたりの喘息死が全国と比較してまだまだ多く、当科でも喘息死ゼロを目指して鹿児島気管支喘息研究会の協力病院(拠点病院)として活動しています。吸入ステロイドや長時間作用型気管支拡張薬,抗ロイコトリエン受容体拮抗薬を中心とした治療で多くの患者様が良好なコントロールを得ています。難治性喘息に対しては生物学的製剤の導入も積極的に行っております。
間質性肺炎、びまん性肺疾患
間質性肺炎の原因は、膠原病や有機物・無機物の吸入によるもの, 薬剤性など非常に多岐にわたります。明らかな原因が特定できない特発性間質性肺炎(特発性肺線維症が最も多い)もあります。精査として詳細な病歴聴取や血液検査、画像検査、呼吸機能検査、気管支鏡検査を行いますが、診断確定に苦慮する症例も少なくなく、外科的肺生検を行う場合もあります。こうしたデータを統合して診断を決定します。治療については可能な限り原因検索を行った上で、ステロイドや免疫抑制薬、抗線維化薬の導入を行っております。そうした治療を行っていても急性増悪をきたすケースはしばしばあり、予後不良であるのが現実です。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性呼吸不全 喫煙歴や職業歴などの生活歴を含む病歴、肺機能所見、画像所見などから診断を行い、病状に適した治療を選択し、呼吸リハビリテーションや薬物治療、禁煙指導を行っています。慢性呼吸不全となれば、在宅酸素療法の導入や非侵襲的陽圧換気療法(鼻マスク式人工呼吸器)も使用しています。
2023年度 診療実績
外来患者数(2019年, 2020年は1-12月)
疾患別入院患者数(2019年, 2020年は1-12月)
疾患名 | 2023年 | 2022年 | 2021年 | 2020年 | 2019年 |
肺癌 | 481 | 350 | 338 | 262 | 295 |
肺炎 | 63 | 62 | 54 | 70 | 65 |
びまん性肺疾患 | 58 | 43 | 54 | 47 | 34 |
気管支喘息 | 7 | 13 | 6 | 7 | 19 |
慢性閉塞性肺疾患 | 14 | 15 | 17 | 9 | 11 |
肺結核 | 7 | 8 | 6 | 17 | 2 |
その他 | 243 | 207 | 230 | 177 | 186 |
合計 | 873 | 698 | 705 | 599 | 612 |
気管支鏡数(2019年, 2020年は1-12月)(呼吸器外科・内科合算)
2023年 | 2022年 | 2021年 | 2020年 | 2019年 |
204 | 181 | 154 | 123 | 173 |
所属医師
日本内科学会総合内科専門医、指導医
日本呼吸器学会呼吸器専門医、指導医
日本がん治療認定機構がん治療認定医
Infection control doctor
抗酸菌感染症専門医、低線量CT検診専門医
緩和ケア研修修了医
博士(医学) 鹿児島大学
日本呼吸器学会呼吸器専門医、指導医
日本内科学会総合内科専門医
日本内科学会認定内科医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
緩和ケア研修修了医
博士(医学)鹿児島大学
日本呼吸器学会専門医、指導医
日本内科学会総合内科専門医
日本内科学会認定内科医
日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
緩和ケア研修修了医
博士(医学)鹿児島大学
日本内科学会内科専門医
緩和ケア研修修了医
日本内科学会内科専門医
緩和ケア研修終了医
日本内科学会内科専門医
緩和ケア研修終了医
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医
日本呼吸器学会呼吸器専門医、指導医
日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
日本肺がんCT検診認定機構肺がんCT検診認定医師
日本結核・非結核性抗酸菌症学会結核・抗酸菌症認定医
緩和ケア研修修了医
博士(医学)熊本大学
医歯学域附属病院 附属病院 診療施設 緩和ケアセンター 特例准教授
日本内科学会総合内科専門医
日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医
日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医・指導医
日本がん治療認定医機構認定医
日本医師会認定産業医
博士(医学)鹿児島大学
外来担当表
肺がん登録事業について
日本肺がん学会、呼吸器外科学会、日本呼吸器学会は協同して肺癌登録合同委員会を設け、肺癌の発生や予後にかかわる因子を明らかにし、肺癌の予防、診断、治療の向上に寄与することを目的として日本での肺癌症例の登録、解析業務を行っています。
当院 呼吸器内科も登録事業に参加しております。
症例の登録について皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。
肺癌登録合同委員会ホームページ http://haigan-touroku.jp/