患者の権利と責務

 いまきいれ総合病院は世界医師会『患者の権利に関するリスボン宣言』の精神に則り、患者さんの権利を尊重した「患者中心のチーム医療」を推進します。患者さんが子ども(18歳未満)の場合、日本小児科学会『医療における子ども憲章』を患者さんとご家族にお示しし、病気になった時にも自分を大切にして少しでも楽しく過ごせるように、職員が協力してお手伝いします。
以下に掲げる事項は、患者さんが医療を受けるにあたって、守られるべき権利と求められる責務ともいえる内容ですので、十分に理解していただきますようにお願いいたします。

患者の権利

【良質の医療を受ける権利】
患者さんは、社会的な地位、国籍、宗教などにより差別されることなく、適切な医学水準に基づいた安全かつ効果的な医療を受ける権利をもっています。
【選択の自由の権利】
患者さんは検査や治療を受ける際に、担当の医師、病院を自由に選択する権利を持っています。また、診療のどの段階においても、他の医師の意見(セカンド・オピニオン)を求める権利をもっています。
【自己決定の権利】
自分自身に関わる自由な決定を行うための自己決定の権利、自己決定を行ううえで必要とされる情報を得る権利をもっています。
患者さんが子ども(18歳未満)の場合、自己の受ける医療行為について、年齢及び理解力、病気や医療行為の内容に従って、十分に分かりやすく工夫された方法により説明を受け、自由な意思に基づき当該医療行為につき意見を表明することができ、その意見は相応に考慮されます。
【意思を表明できない場合に代理人に決定を委ねる権利】
患者さんが意識不明、またはその他の理由で意思を表明できない場合や未成年の場合には、法律上の権限を有する代理人が患者さんの代わりに意思決定をする権利をもっています。
【情報に対する権利】
医療上の記録に含まれる自己の情報を知る権利、医学的事実を含む健康状態に関する十分な説明を受ける権利をもっています。 例外的にその情報が患者さん自身の生命・健康に危険をもたらす恐れがある場合は除きます。 また、必要があれば自分に代わって情報を受ける人を選択する権利をもっています。
【守秘義務に対する権利】
患者さんの健康状態・症状・診断・予後および治療について個人を特定しうるあらゆる情報、ならびにその他の個人の全ての情報は、死後を含めて守られます。また、個人を特定しうるあらゆるデータおよび細胞・組織・臓器などは保護され、適切に保管されます。
【健康教育を受ける権利】
すべての人は、個人の健康に対する自己責任をもつと同時に、疾病の予防および早期発見についての手法や保健サービスの利用などを含めた健康教育を受ける権利をもっています。
【尊厳に対する権利】
価値観が尊重され、尊厳とプライバシーが守られる権利は、医療と医学教育の場において常に尊重されます。最新の医学知識に基づき苦痛を緩和される権利、人間的な終末期ケアを受ける権利をもっています。

患者の責務

医療が安全かつ適切に行われるために、患者自身が医療者とともにチーム医療に主体的にかかわることが必要です。また、医療の安全確保のための取り組みにも患者さんの協力が欠かせません。

  1. 患者自身の主体的なチーム医療への参加は、患者さんのもつ権利であるとともに、責務でもあることをご理解ください。説明や意思の確認などを受けられる際、ご自身の意思や意見、疑問を遠慮なく担当者に伝えてください。
  2. 医療者の説明が十分に納得できるまでお尋ねください。
    患者さん自身に病気のことや診断・治療の必要性などについて十分理解していただくことが必要です。どうしても納得できない場合には、他の病院・他の医師の意見(セカンド・オピニオン)を求めることをお勧めします。
  3. 医療者が診療において的確な判断を行っていくため、病状や家族歴、既往歴、アレルギーの有無、薬の服用状況や副作用、現在の症状や痛みの程度などの情報は、できる限り正確にお知らせください。
  4. 自分自身が受ける医療行為、投与される薬などに関する疑問や不安は、遠慮なく医師や医療スタッフにお伝えください。
  5. 患者間違いによる事故を防ぐための取り組みへの協力をお願いします。
    思い込みから生じる患者(ひと)間違いを防ぐために、当院では、診察や検査の前、薬の服用や注射の前に、患者さんのフルネームを確認する取り組みを推進していますので、ご協力をお願いします。
  6. 入院中の転倒・転落事故を防ぐための取り組みへの協力をお願いします。
    院案内にあるリーフレット「履き物の選び方」をお読みください。転倒や転落事故を防ぐための医療者の指示に従ってください。
  7. 静脈血栓塞栓症を防ぐための取り組みへの協力をお願いします。
    入院案内にあるリーフレット「自ら行う肺血栓塞栓症の予防法」をお読みください。入院中は、肺塞栓症防止のために必要な予防策を行うことがありますので、ご協力お願いします。
  8. 検査や治療が安全に実施できるように、医療者の指示は必ずお守りください。
  9. 院内感染の防止のための取り組みにも患者さんの協力が必要です。
    患者さんの状況によりましては、職員より手洗いやマスク・ガウンの使用などを個別にお願いする場合があります。わからないことは何でも職員にお尋ねください。
  10. 以下のような犯罪行為、迷惑行為、その他これらに準じる行為を禁止いたします。これらの行為により、当院との信頼関係が破たんした場合は、当院での診療を原則としてお断りいたします。
    ・暴言・暴力行為・脅迫・窃盗
    ・危険物の持ち込み・喫煙・飲酒
    ・入院時における無断外出・外泊・他の患者もしくは医療従事者への迷惑行為
    ・セクシャル・ハラスメント
  11. 暴力行為やセクシャル・ハラスメントは犯罪です。
    暴力・暴言などで他の患者さんにご迷惑がかかる場合や医療者の診療行為が妨げられる場合には、当院での診察を中止することがあります。また、必要に応じて警察へ通報することがあります。
  12. その他、病院内の規則をお守りください。病院は、多くの患者さんが医療を受ける場です。すべての患者さんが快適な環境で医療を受けられるように協力をお願いします。
    ◎当院は敷地内禁煙です。
     喫煙はご自身だけでなく、周りの人々の健康に悪影響を与えます。病院内では必ず禁煙をお守りください。
    ◎当院は、臨床研修病院~研修医(医師免許取得後2年間の医師)を実践教育する病院~の指定を受けています。研修医が担当医として主治医の責任指導の下に診療・治療などを行う事があります。
    ◎当院は、急性期の患者に対する高度医療、救急医療に重点を置いています。急性期の入院治療を必要とする患者が、すぐに入院できる体制を整える事に最大限の努力をしております。
    そのため、患者の急性期の病状が安定し入院治療が必要でなくなった段階で、当院の外来又はご紹介をいただいた医療機関やご自宅近くの医療機関へ診療を引き継ぎますので、ご協力をお願いいたします。
    なお、他の医療機関へ紹介する場合は、患者にとって最善の医療が受けられるよう、病状、検査、治療の経過などを添えてご紹介させていただきます。

2022年10月改訂 いまきいれ総合病院 倫理委員会